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【事務所通信 令和8年3月号】知っておきたい「資産・負債の残高確定」「インボイスの経過措置」「シニア人材」のこと

経営:決算をスムーズに進めるための資産・負債の残高確定

 決算期には、貸借対照表に計上される資産・負債の残高が実態と一致しているかを確認し、正確な数値を確定させることが重要です。決算の精度は、この残高確認の質に大きく左右されるため、各項目について丁寧にチェックを行いましょう。

 まず資産については、現預金や売掛金、棚卸資産、固定資産などについて、帳簿上の残高と実際の状況を照合することが基本です。現預金は金融機関の残高証明書と一致しているか、売掛金は得意先別の明細と整合しているかを確認します。棚卸資産については実地棚卸を行い、帳簿との差異があれば原因を特定し、適切に修正する必要があります。また、固定資産は実在性や使用状況を確認し、売却・除却・修繕の処理が正しく行われているかも重要なチェックポイントです。

 一方、負債については、買掛金や借入金、未払金などの計上漏れや誤りがないかを確認します。買掛金は仕入先ごとの明細と照合し、借入金は金融機関の残高証明書や契約内容と一致しているかを確認します。未払金や未払費用については、決算時点で発生している支払い義務を漏れなく計上することが求められます。

 特に注意したいのは、クレジットカード利用や各種サービス費用など、請求が後から来る取引です。これらは利用時点で費用計上し、未払金として処理する必要があります。

 適切な残高確定を行うことで、正確な利益把握が可能となり、経営判断の質が向上します。決算を「早く終わらせる」ことだけでなく、「正しく終わらせる」ことを意識し、日頃から帳簿と実態の一致を保つ運用体制を整えましょう。

税務:インボイス制度の経過措置の見直しポイント

 インボイス制度導入後の負担軽減策として設けられていた経過措置について、令和8年度税制改正により内容が見直されます。主なポイントは、「2割特例」の縮小と「仕入税額控除の特例割合」の段階的引き下げです。

 まず「2割特例」は、免税事業者からインボイス発行事業者となった事業者の納税負担を軽減するための制度ですが、今後は適用対象が個人事業者に限定され、従来のように幅広く利用することはできなくなります。この変更により、該当する事業者は納税額の増加が見込まれるため、事前に影響を把握しておく必要があります。

 次に、免税事業者等からの仕入れに関する仕入税額控除の経過措置については、控除割合が段階的に引き下げられます。具体的には、これまで80%控除が認められていたものが70%、その後50%、最終的には30%へと縮小されていきます。この措置の期間も延長されているため、中長期的な対応が求められます。

 これらの変更により、取引先が免税事業者である場合のコスト構造が変化する可能性があります。今後は、①取引先の課税区分の確認、②インボイス取得の可否、③会計処理の見直しといった対応が重要になります。

 また、簡易課税制度の活用も含め、自社にとって最適な消費税の計算方法を再検討することが求められます。制度変更を正しく理解し、早めに対応を進めることで、税負担の増加リスクを抑えることができます。

労務:シニア人材の活用と雇用戦略の見直し

 人手不足が深刻化する中で、シニア人材の活用は多くの企業にとって重要な経営課題となっています。現在は65歳までの雇用確保が義務化されており、さらに70歳までの就業機会の確保も努力義務とされています。

 シニア人材を活用するためには、まず就業規則や雇用制度の見直しが必要です。定年延長や継続雇用制度の整備に加え、実態に即した労働条件の設定を行うことが重要です。制度変更を行う場合は、労働基準監督署への届出も必要となるため、手続き面の対応も忘れないようにしましょう。

 次に、賃金や労働条件の再設計も重要なポイントです。シニア人材の賃金は、企業の経営状況や業務内容に応じて適切に設定する必要があります。勤務日数や労働時間、業務範囲なども柔軟に見直し、無理のない働き方を実現することが求められます。

 また、継続雇用の意思確認も重要です。対象者に対しては、定年到達前に継続の意思を確認し、書面での手続きを行うことで、後のトラブルを防ぐことができます。

 さらに、再雇用後の処遇や役割設計についても見直しが必要です。一律の待遇ではなく、本人の能力や経験を踏まえた配置や評価制度を整備することで、モチベーションの維持と組織全体の生産性向上につながります。

 加えて、令和8年4月からは在職老齢年金制度の見直しや高年齢労働者の労災防止対策の強化など、シニア雇用に関する制度変更も予定されています。これらの制度改正を踏まえ、自社の人材戦略を中長期的な視点で再構築することが重要です。

以上のように、「資産・負債の残高確定」「インボイス制度の経過措置」「シニア人材の活用」は、それぞれ経営・税務・労務の観点から企業運営に直結する重要テーマです。制度や実務の変化に対応しながら、正確な会計処理と柔軟な人材戦略を両立させることが、持続的な成長につながります。

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